物件#002『コーゾージ・ヴィンテージ』ではキッチンとお風呂の2箇所にタイルを使っています。どちらも色の存在感が強く空間を決定づける要素になっています。
あまり、一般的な住宅では使わない、使えない色ではないでしょうか。(実際、私自身も過去の物件でこんな色は使った事ないです、なかなか使えません。)
これはKYタイル株式会社さんの『フォンセーヴ』という100角タイルの商品です。とても個性的な色幅の商品でどれも1度は使ってみたい衝動に駆られます。悩んだ末、今回は『P10-FC73フランボアーズ』を選びました。
フランボアーズとはフランス語でラズベリーの事。なるほど、キッチンにピッタリ。
そしてタイル壁の印象を決めるもう一つの重要な要素は『目地』。
無難に白やライトグレーを選びがちですが、折角選んだタイルをもう一段階レベルアップさせる為には色の組み合わせを狙って考える事はとても大切!
今回選んだのはINAXの内装用防汚目地材スーパークリーンの『SS-42K(グレーグリーン)』、これは若干緑の色味を含んだベージュの目地材です。一見合わなさそうなこの2色ですがちょっと存在感を主張してくるこの目地色が、ラズベリー色のタイルをより引き立たせています。正解でした。
お風呂は当時の白いタイル貼りのままで状態も良かったので、その上に塗装をする事にしました。既存のタイル張りの状況にもよりますがしっかりと手順を踏めば古いタイルの上に塗装仕上げをしてガラッと色を変える事が可能です。タイル対応のプライマーの上に外部用の硬質ウレタン塗装、さらに今回は傷防止のクリアーも塗布する事によって全体で防水性も高めています。
また、基本的に塗装工事は都度色指定をしますので選べる仕上げ色の選択肢もぐっと広がります。タイルサイズに関しては悩ましいポイントがあり、建築当時のタイルサイズは110ミリ角なのですが現在は廃盤で手に入りません。ですので、今回シャワー水栓をつけるために新しく作った腰壁の部分は100ミリ角の白いタイルを貼り、その上に塗装をしています。既存と新規のタイルでどうしても目地のズレができました、まあこれも過去と現在のコラボの結果という事でしょう。
色はピンクと淡いブルーグリーンの2トーン、としています。パキッと目の覚めるシャワールームができました。
今回の物件では以上の2箇所にタイルを使いました。
タイル仕上げというのは基本的には耐水性、耐熱性といった機能面から利用されるタイルですが、今はデザイン的に非常に魅力的なタイルが各メーカーから開発販売されています。種類も磁器質、せっ器質、陶器質タイルと様々ですが今回はあえて形もサイズも最もオーソドックスな物を選択し色彩で表現しています。箇所的には多くではありませんでしたがこの物件を特徴づける大事な要素となったと思います。(井村)
PHOTO:danchitechts